ジョーティッシュ(インド占星術)の基本から西洋占星術との違い、実践方法まで徹底解説。5000年の歴史を持つ「光の知識」で人生の指針を見つけませんか?初心者でもわかりやすく丁寧に説明します。
私が初めて「ジョーティッシュ」という言葉を耳にしたとき、正直なところ「何それ?」というのが率直な感想でした。西洋占星術には馴染みがあったものの、インド占星術については全くの未知の世界だったのです。
しかし、実際に学んでみると、その奥深さと精密さに驚愕しました。ジョーティッシュは単なる占いではなく、5000年以上も前から受け継がれてきた叡智の結晶なのです。
ジョーティッシュとは何か?
ジョーティッシュ(Jyotish)は、サンスクリット語における「Jyoti=光」「Isha=神(魂)」が組み合わさった言葉で、一般に「光の科学」という意味で知られています。5千年以上前に古代インドでまとめられたのが、インド占星術(ジョーティッシュ)で、現在でもインド占星術と呼ばれることが多いです。
私がジョーティッシュを学び始めたきっかけは、友人の占星術師からの一言でした。「あなたの月星座、実は西洋占星術とジョーティッシュでは違うかもしれませんよ」。その言葉に興味を持ち、実際に調べてみると、確かに違いがありました。この発見が、私のジョーティッシュへの探求心に火をつけたのです。
ジョーティッシュの歴史と起源
ヴェーダの中の6つの補助学(ヴェーダンガ)のひとつとして、5千年以上前に古代インドでまとめられたのがジョーティッシュです。アーユルヴェーダやヨガと同じく、インドの伝統思想「ヴェーダ」における知識体系のひとつとして位置づけられています。
ヴェーダとの関係性を理解すると、ジョーティッシュがなぜこれほど体系的で精密なのかが分かります。私が最初にこの歴史を学んだとき、その古さと継続性に感動を覚えました。5000年という途方もない時間をかけて磨き上げられた知識体系なのですから、その深さは計り知れません。
ジョーティッシュと西洋占星術の決定的な違い
多くの方が疑問に思うのが、「ジョーティッシュと西洋占星術は何が違うの?」という点です。私も最初は同じ疑問を持っていました。実際に両方を学んでみると、その違いは思っている以上に大きいものでした。
サイデリアル方式 vs トロピカル方式
最も大きな違いは、星座の起点の決め方です。
占星術の種類 | 方式 | 起点の決め方 |
---|---|---|
ジョーティッシュ | サイデリアル方式 | 地球の地軸を座標に地球の歳差運動を考慮した |
西洋占星術 | トロピカル方式 | 春分の日に太陳がある経度を牡羊座の0座標を決めている |
座標が異なるので、西洋占星術とジョーティッシュでは、春分点の位置が約24度違い、72年に1度ずつ差が生じるのです。私の場合、西洋占星術では太陽星座が獅子座でしたが、ジョーティッシュでは蟹座になりました。最初は戸惑いましたが、蟹座の特性を読んでみると「なるほど!」と思う部分が多々ありました。
使用する惑星の違い
もう一つの大きな違いが、使用する惑星です。
ジョーティッシュで使用する9つの惑星(ナヴァ・グラハ):
- 太陽(スーリヤ)
- 月(チャンドラ)
- 火星(マンガル)
- 水星(ブダ)
- 木星(グル)
- 金星(シュクラ)
- 土星(シャニ)
- ラーフ(北の交点)
- ケートゥ(南の交点)
インド占星術では太陽系惑星の内、比較的近年に発見された「天王星・冥王星・海王星」は使用せず、7つの惑星(感受点を含めると9つの惑星)を主に使用します。
実際に鑑定を受けてみると、この9つの惑星だけで驚くほど詳細な分析が可能であることに驚きました。特にラーフとケートゥの影響は、西洋占星術では体験できない独特な洞察をもたらしてくれます。
ジョーティッシュの基本構成要素
ジョーティッシュを理解するために欠かせない要素がいくつかあります。私が学習初期に最も混乱したのがこの部分でしたが、一つずつ整理していけば必ず理解できます。
12の星座(ラーシ)
ジョーティッシュでも西洋占星術と同じ12の星座を使用します。ただし、前述の通りサイデリアル方式を採用しているため、実際の配置は約24度異なります。
27のナクシャトラ(星宿)
天空を月の移動距離で27分割した領域(ナクシャトラ)が、ジョーティッシュ独特の要素です。月の軌道、ナクシャトラ(27の星宿)を考慮することで、魂を覆う心の動きや傾向をつぶさに読み解くことができるのです。
私の月のナクシャトラは「プシュヤ」でした。この星宿の特質を調べてみると、自分の内面的な傾向がまさに的中していて鳥肌が立ったのを覚えています。
クンダリー(出生図)
インド占星術で使うクンダリーには大きく分けて「南インド式」と「北インド式」の、2つの様式があります。
南インド式と北インド式の違い:
方式 | 特徴 |
---|---|
南インド式 | ラーシ(星座)の位置がつねに固定されている |
北インド式 | ラグナ(上昇宮)が真上に位置し、室(バーヴァ)の位置が固定されている |
初めてクンダリーを見たときは、その独特な形状に戸惑いました。四角形に区切られた図面は、西洋占星術の円形のホロスコープとは全く異なる印象を与えます。しかし、慣れてくると情報が整理されて見やすいと感じるようになりました。
カルマと過去生 – ジョーティッシュの哲学的側面
ジョーティッシュが他の占星術と大きく異なるのは、その哲学的な背景です。過去生での心残りやカルマ(過去生での行いにより、よし悪しにかかわらず今生で返ってくる行為・宿命)が、生年月日、時刻、出生場所から割り出されたバースチャート(出生図)に表れるという考え方が根底にあります。
運命と自由意志のバランス
興味深いのは、過去生からのカルマの結果、すでに8割近くの人生は決められているが、残り2~3割の「自由意志」と呼ばれるものにより、悪いカルマを積まない解消する方法を選ぶことができるという考え方です。
この概念を初めて聞いたとき、私は「それって運命論じゃないの?」と思いましたが、実際は違いました。むしろ、自分の課題を知った上で、どう生きるかを選択する力を与えてくれるのです。
3つの性質(グナ)
人間は大きく分けて3つの性質、「サットヴァ(純性)」といわれる純粋エネルギー(慈愛に満ちた言動)、「ラジャス(激性)」利己心・際限ない欲望、「タマス(貪性)」暴力的な行為や言葉といったエネルギーに支配されているのです。
自分がどの傾向が強いのかを知ることで、バランスの取れた生き方を目指すことができます。私の場合、ラジャス(激性)が強い傾向があることが分かり、意識的にサットヴァ的な行動を取るよう心がけるようになりました。
ジョーティッシュの実践的な活用方法
では、実際にジョーティッシュをどのように活用すればよいのでしょうか?私の体験を交えながらご紹介します。
人生の指針として
出生図を深く読み解くことで人生の妨げになるものは何なのか、逆にどのような行いが魂を満たし、幸せへと導いてくれるのかがわかるのです。
私の場合、7ハウス(パートナーシップの部屋)に惑星がなかったため、「結婚には縁がないのかも」と思っていました。しかし、ジョーティッシュを学んでいく中で、ナヴァムシャチャート(D9)という分割図を見ると、30代以降にパートナーシップが重要なテーマになることが分かりました。実際、その通りになったのです。
相性診断での活用
marriage counseling で相性のことや、一緒に暮らす際のアドバイス、そして、婚姻届を提出するタイミングを何時何分単位まで細かくアドバイスして頂きましたという体験談のように、非常に詳細な相性分析が可能です。
健康管理への応用
医療占星術として、その人の出生図から罹りやすい病や、身体の弱い、または丈夫な箇所などを読み解き、予防に役立てることもあるのも、ジョーティッシュの特徴の一つです。
ジョーティッシュの学び方・始め方
「興味はあるけれど、どこから始めればいいの?」という方のために、実践的なアドバイスをお伝えします。
無料ツールの活用
まずは無料のホロスコープ作成ツールで、自分のクンダリーを作成してみましょう。生年月日、出生時刻、出生地が分かれば作成可能です。
基本的な学習の進め方
- 基礎概念の理解:9惑星、12星座、27ナクシャトラの基本的な意味
- ハウスの理解:12のハウス(バーヴァ)が表す人生の領域
- アスペクト(相位):惑星同士の関係性
- ダシャー(惑星周期):時期的な影響の分析
注意点とアドバイス
経験を積んだ優れたインド占星術師に見てもらった場合、的中率はかなりのものだといわれている一方で、観光客相手に悪いことばかり告げたり、鑑定に絡めて高価な宝石やお守りを買わせようとするインド占星術師には要注意!です。
私も学習初期に、不適切な鑑定師に出会った経験があります。良い鑑定師は、必ず建設的なアドバイスを提供し、高額な商品を押し売りすることはありません。
現代におけるジョーティッシュの意義
パンデミックや紛争、相次ぐ天災など、時代の大きな変化や困難を実感する出来事が続き、先行きへの不安を感じてしまうこともある現代において、ジョーティッシュは真の幸せへと導く”光”となり得るものなのかもしれません。
私自身、人生の迷いや困難な時期に、ジョーティッシュが大きな支えとなりました。それは単なる予言ではなく、自分自身の本質を理解し、人生の目的に向かって歩んでいくための道しるべなのです。
まとめ
ジョーティッシュは、5000年以上の歴史を持つ深遠な叡智です。西洋占星術とは異なるアプローチで、私たちの人生に光を当ててくれます。
カルマや過去生という概念は、最初は難しく感じるかもしれませんが、それらを理解することで、人生をより深く、より意味のあるものとして捉えることができるようになります。
もし皆さんが人生の指針を求めているなら、ジョーティッシュという「光の知識」に触れてみることをお勧めします。きっと新しい発見と気づきが待っているはずです。